夏屋服部商店のやり方

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1994年5月 シアターモリエールにて上演
構成演出■金田智行、森田独自、宮川賢、佐藤泰子、ビーグル大塚、いど、他

疎まれる湿り屋横町 夏屋商店主集結 音を出すとおもしろい
疎まれる湿り屋横町 夏屋商店主集結 音を出すとおもしろい
夏屋商店街とは?

舞台となった夏屋服部商店は「蚊帳屋」。この服部商店を含む夏屋商店街とは? そして、その夏屋商店街を含む久川駅界隈の商店街について。

夏屋商店街付近地図

解説
「駅前商店街」と「○屋商店街」
それぞれの季節(春夏秋冬)に必要なものを取り扱う○屋商店街(○には季節が入る)と、
季節関係なしに必要なものを扱う駅前商店街とがある。
駅前商店街とは?
季節に関係ないものを扱う。例えば「八百屋」「床屋」「銭湯」「乾物屋」。また、総合ショッピングビルも同じ。
「○屋商店街」とは?
春屋商店街、夏屋商店街、秋屋商店街、冬屋商店街の四つがある。が、最近、梅雨屋商店街というのが北口西通りに出来つつある。
春屋商店街
春にしか必要としないモノを売っている店の集まり。「曙屋」「合格通知電報屋」「上履き屋」など、大したものがない為、今はまさに衰退の一途をたどりつつある。
夏屋商店街
ご存じ「服部商店」を含む夏屋商店街は、夏にしか必要としないモノを扱う商店ばかりが軒を連ねる。服部健三(森田独自)が主をつとめる服部商店は「蚊帳屋」であり、主人公中谷(金田智行)の家は「簾屋」、下山親子(宮川賢、杉本茂)が営むのは「風鈴屋」で、及川(いど)の「蠅叩き屋」、瀬沼(ビーグル大塚)の「行水屋」、他に「蚊取り線香屋」などがある。
秋屋商店街
風前の灯火。なんと「スポーツ屋」「読書屋」「食欲屋」しかない。どこかの街から「女心屋」をスカウトして盛り返しを計ろうとするが…。
冬屋商店街
「火鉢屋」森川(山崎カカト)率いる冬屋商店街は南口に大きく勢力を広げつつある。「懐炉屋」「炬燵屋」など。

梅雨屋商店街

「傘屋」「合羽屋」「長靴屋」など、雨期に必要とするものを扱う商店街。ただし、商店としての認可を受けていない雲助が多く、「湿り屋横町」として疎んじられている。
「夏屋」と「冬屋」の対決
物語は、商店街の組合の会合で、「組合費」を売上の2.6%から、総組合費の頭割りの一律納金のシステムに切り換えようとしている「冬屋の森川と、それを阻止しようとしている夏屋の服部健三との戦いがメインとなっている。
「冬」は寒さに耐えきれず、モノが増える季節、それに対して「夏」はモノが減る。暑さも我慢すれば凌げるもの。冬は必要に迫られて購入する家具などが多い反面、夏のモノは「風情」に関係するものばかり。店舗数はあるものの、冬屋の森川の言う通り、一律にしてしまうと、夏屋商店街は店を畳む人たちが続出しそうだ。
だが、服部健三には「やり方」があった。夏になる度に、必要としない「風鈴」を買い、イベントとして行水大会をやり(行水屋の為に)、毎年「簾」を買い換える…そのような傷を舐め合う甘えた意識では、よくないのではないだろうか。つきあいで夏屋の中でお互いの商品を買い合うのではなく、組合費も一律にして、淘汰されるべき店舗は消えてなくなる方がシビアなようだが、商店街のあるべき姿なのではないだろうか?

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