『アンナと過ごした4日間』

イエジー・スコリモフスキの17年ぶりの新作が五月末にDVDになったので観た。「アンナと過ごした4日間」。詩人ならではの映像美。そして世界観。コミカルとスリル。到達と破綻。極端にセリフの少ないこの物語のなかには色々なモノが詰まっている。ぎゅーぎゅー詰めだ。軽いお話。わかりやすいお話。でありながらぎゅーぎゅーだ。
_prw_img1.jpgのサムネール画像

音楽の使い方の妙味。構図のアイデア。カメラワークの丁寧な様子。全てが計算され尽くしたイエジーのセンスが光る。映画作家というのはこういう人を言うのだ。オススメです。が、猿でも解る娯楽作品をご所望の映画ファンには観ない事をオススメします。じっくり浸りたい。そういう映画です。DVD買いたいなぁ。

もうひとつ。小林大吾『オーディオビジュアル』。これはCDです。これは濃密なる言葉のラッシュ。オザケンやラブ・サイケデリコのような「どこで息継ぎするの?」系ではありませんで、シレッと言葉をたたみかけてくる。それに無理がなくひたすらよく「喋るCD」という。
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この二つの作品はとても「対極的」であります。まるで語らずに語るものと語り尽くせぬ語り。僕は語って語って語り尽くすことでスッキリしたいタイプなので、この小林大吾は頷ける世界。しかし、イエジーの映画は生まれ変わっても作れません。

かつて「眠る夢、見る夜」で恋愛についてこう書いた。「自分の共通点を見いだして惹かれるパターンと、自分が持ち合わせない魅力を見いだして惹かれるパターン」人を好きになるにはこの二通りだ、と。この2作品の作者は僕にとって、そのそれぞれなのであります。

今日は、あどばるーんの「青い森の伝説」トークライブ。楽しみだにゃあ。

 

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