この世で最も醜い生き物

これを一通り読んでみるといいよ。

世の中には、とても素敵な友情や友愛を描いた小説があり、男同士の関係は、結局セックスなんじゃないの?という命題に行き着きがちな「男女」の関係とは違った純粋なる慈しみと尊敬の関係が構築される。武者小路実篤の「友情」も、夏目漱石の「こころ」も。

特にライバルとなった男同士(もしくは女同士)の友情と切磋琢磨のプロセスは共鳴できる。辻邦生と北杜夫の往復書簡は嫉妬すら覚える。

だが、ここに記されている南風椎さんと新井満クソヤローとの関係は、それの対極にある男同士の関係だ。心の綺麗な人と日本一さもしい男の関係は、まるで昔話のようにステロタイプの善人と悪人の関係であり、ふてぶてしく悪を悪びれずに貫く新井満クソヤローの卑しさは、読んで強く同情する。ここまで心の汚い生き物がいたのか、と。

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