宮川賢です。来月「ヒネミの商人」に出演します。実は20年前に初演があり、そこにも出てました。同じ役です。砂原という親爺です。30ぐらいで親爺の役をやっていたのですが、今は真実の姿が親爺になったので、逆にどーすればいいのか、思案します。再演で、僕と中村ゆうじさんだけが初演のメンバーです。同じ芝居で同じ役となると、どれだけ気をつけていても緊張感を失いそうで怖いです。
役者が陥る「慢心」のような物としっかり戦って打ち勝っていかなければなりません。そうやって思うと、12月に台本を受け取り、
1月のお正月休み明けの稽古初日で、すでに全部の台詞を入れていたゆうじサンはすげーなーと思います。ゆうじサンなんて、去年のシティボーイズライブでも宮沢さんと一緒だし、どう考えてみても演出家から認められていて、評価もされていて、信頼もされている、というのがありそれを自覚も出来ようものなのに、そこに慢心せずにそうやって先頭切ってキャストを牽引していく。
先日は宮沢さんの体調不良で稽古がお休みになった後の稽古で演出助手にゆうじさんが「宮沢さんが休みでも稽古しようよ。折角スケジュール押さえてるんだし、みんなの台詞を聞いていたいんだもの」と進言していた。おおおっ。なんという役者の鑑のような先輩です。初演時に写真の小道具で共演者のふせえりちゃんの水着写真を本番で唐突に持ち出して僕とえりちゃんの集中を切ろうとするようなお茶目な(というか大迷惑だったけど)側面と、どうしてあの芝居に対しての誠実さが同居出来るのか不思議だなぁ。
チケットは発売中なので良かったら、というか是非、見に来てください。僕に言って貰えればチケットとれると思います。それも遠慮なく。あ、ツイッターとかで話しかけて貰えればフォローしてダイレクトメッセージ送受信できるようにしますね。
当たり前だけど、宮沢さんは完成形のビジョンをハッキリ持ってるので、稽古場に行った所で余計なことを考えなくていいのでとても(変な言い方ですが)楽チンです。全てをお任せすればよろし。初演は所謂、静かな演劇という言葉が一人歩きしはじめた時期だったこともあり、恵比寿イーストギャラリーという芝居小屋ではないところでの公演だったこともあり、芝居というよりは「体験」して貰うようなスタイルで紡ぎ上げた記憶がある。声を張らず、クロストークをして、客席にお尻を見せないなんて演劇の常識からは対極にある作り方をあえてしていたような記憶。
でも、今回の稽古始めに宮沢さんが言ってたのは、それはその時の事であり、今は、台詞を「張らないで言う」のが一般的になり、役者っぽくない役者が一般的な役者になった。その今だからこそ、あの時のこだわりを切り離して考えたい、と。
このあたりは強く実感する所。本当にフツーに日常的な声の出し方で舞台に立っている人が多い。そして、物語を「作らなくていいんだ」と思っている作者も多い。スケッチのような、テレビドラマのような。そういう今、この「ヒネミの商人」をどうやればいいのだろう、なんてことは、考えずに稽古を、役を楽しみますけどね。
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