久しぶり
「アンダースタディ」絶賛稽古中。
8月稽古開始の前にダンスのレッスンと台詞の稽古を進めております演出の宮川です。久しぶりのことは同じ芝居作りでもあるのは刺激的で使わない筋肉がピクピクしてよろしい。
久しぶりというのは、出演者全員を理解しているワケではないのに台本を書くという作業を完了させるということ。どんだけ久しぶりかというと、球団Z’sに書いた「あいうえ落ち葉の、」ぐらい久しぶりざんすね。
あの時に出会った役者さんは、本当にみんな魅力的で人の良さが前面に出ていて、ああ、面白い役者さんって沢山いるんだなぁと思った覚えがある。特に自分は劇団の養成所を出たワケでもないし、日大だけど芸術学部卒じゃないし、回りに役者が当たり前のようにいる環境ではなかったので、そういう環境が羨ましいと感じた覚えもある。
藤崎さんや妹尾さんと知り合ったのもあの公演だったし、絶対に自分が満足出来る出来にしてやる!に燃えていたので色々な事が鮮明に残ってる。高田さんも東地さんも、光岡さんも、つんつんも出ていたっけ。一度会ったぐらいで台本を書くというのが当て書きを持ち前としている身としては、ゴールの見えないレースに駆り出されるような感覚で不安と期待を共に楽しめた記憶がある。
で、作者としての自分のモットーは、その人の魅力を出し尽くす!事。そのこだわり。女優はそこそこ出来た。男優もそこそこ出来た。小さな心残りは笹島さん。英語が話せるということで「ならそれを舞台に乗せようぜ!」と持ち込んだので自分に及第点はぎりぎり出せた。だが、圧倒的に「魅力の半分さえも舞台に乗せられなかった」悔しい思い出となったのが、奈良俊介さんだったのであります。こんなに芝居が好きなのに、こんなにやる気も技術もあるのに、どうして俺はこの人の魅力をこの程度までしか出せなかったのだろうか。と作者としても演出家としても悔しい思いをした、これまた鮮明な記憶。
まぁ全方位的に
丸く収めようなんて高望みしていれば、そういう風にもなるよね。大抵、魅力的な人だろうが端役になることもあるし、役者の技術や魅力の一部しか板に乗せないまま終わる事もある。それは作品を優先するからであり、当然のこと。なのに、自分は自分で書いているのだから、面白いものを作って尚且つそれを完遂出来て当たり前だろうげ!とね。
という強い後悔から、その公演が終わった後、劇団の公演にお誘いして出演して貰う事になり、そして気づけばかなりの本数をご一緒してる。それが奈良さんとの関係であり、そしてまた今回、このニッポン放送主催の公演にも出演して貰う事になりましてん。不思議な縁です。
そんな「全員のことをよくわからないまま」台本を書くのが久しぶりでありながら、そのキャストの中では、奈良さんは一番しってる人になっている。いろいろあるなぁ。
そして、その久しぶりの作業は楽しく「出来る前提」で書きあげたワケですが、稽古をいざ始めて見るとなんとかなるのが不思議です。いや、まだ解らないけど(汗)、本日の感想は「お。いけるんじゃね?」です。自分の中に大きく占めていた巨大な不安はかなり小さなものになりました。
計算違いは勿論ある。だがそれは当て書きしても発生する事。そして良い意味での計算違いもあって、それがとても大きい。
振付の由有サンが充実してるのを見られるとそれもまた安心材料になる。