女優の言葉

20歳の大学生の頃、学生演劇をやっていた時期に知り合った新劇女優さんはまだ二十代半ばだったのに妙に大人っぽく見えて、日大芸術学部へ進学するのを親に猛反対されてなくなく日大経済学部へ入った僕からしてみれば、ちゃんと演劇を学んだ事がないまま演劇をやり始めたコンプレックスがある為、言う事がいちいち刺さって来たのを覚えてる。今思い返せば取捨選択すべきことも多かったのだろうけれど。

今でも覚えているのは、芝居の中において、女は女としてしか存在しない。男は人間として存在するけど。とな。へへー。そうかしら? と思って最初は疑ったが、確かに見れば見る程、世の中にある芝居にはそういう具合だった。というより、ちゃんと演劇を学んだ人がいっているんだからきっとそうなのだろうと盲信しちゃってたのかもしれない。

結局それは、この国が女性をどう位置づけているかを反映させていただけであり、芝居はその映し鏡のようなものなので、芝居の中の絶対的な話ではないよね。確かに生死と恋愛は無条件に成立させられるので物語を作る道具としてはとても便利です。人を好きになるのに理由はないから役者が「好き」って芝居を成立させられれば、物語はその恋愛は「成立しない」ということがない。その恋愛って便利なものを使うとなるとやはり異性という立場は有難く。これまでも何度もサイドストーリーなどで使ってきた。情緒が絡むシーンは舞台を賑やかにもするしね。

で。恋愛をまるで関係なしに作るとどうなるのかなぁと思った事は一度もないけど、今回は偶然そうなりました。今回というのは(1+1)×2の方です。男四人の出演者。稽古場もいろいろな点で楽な事が発見出来て興味深い。なんで、今までやってなかったのだろう?と改めて後悔するような新鮮な経験です。

自分が描きたいものの中で、まだまだやってみていない事ってのはあるんじゃないかなぁ。例えば、ほら。女性だけの出演者の芝居とか。やってみたいけど怖いよね。だって女の気持ち分かるの?って言われちゃうと判らないものね。想像で描いてるけどね。きっと少女漫画に出てくる男性キャラクターが記号化しているように感じる人がいるのと同じような事になっちゃうんじゃないかしらん。とか。思う事はあるけど。でもやってみたいよね。一度ぐらいは。

なんてことを色々考えた稽古場でした。今は、二度の通し稽古の間の休憩。奈良さんは当然の如く台詞をさらってる。何しろまじめな人です。こういう人を頼りになる人って言うのだろうな。僕は台詞は少ないのでこんな事を書けていたのであります。

いよいよ金曜日から日曜日まで。(1+1)×2。
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投稿者: 宮川賢

宮川賢と申します。人は権力を持つとどうして威張り出すのかは未だ理解出来ないす。威張れる立場にあるから威張るのだとは思うけど、それを喜べるのはさもしいよ。

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