「チェーン」無事公演が終わりました。ご来場頂きましたお客様には感謝感謝です。
本当になんてことないことなんですけど、自分としては(パンフにも書きましたが)「悪いヤツを沢山登場人物に据える」ってだけで十分な暴挙でして、それをやってみても「あー、なるほどぉ。こんな感じになるのか、興味深いなぁ」という程度で、弊害が何もなかったのでとても面白かった部分も大きくあります。
全てを丸く収めたいというのがあるので、興業や内容は勿論のこと、その役を演じた役者さんが外部の役者さんなら、その役者とさらにはそのマネジャーさんに「ああ、やってよかった(やらせてよかった)」と思って貰える事、加えて劇団員なら、「ここでこれをやることでこういう部分の成長を」とか、何度も出て貰っている役者さんなら「でもここでこういう事に挑戦して貰えれば飽食せずに立ち向かえるのでは」とか、まぁそれぞれプロなのだから気にしなくてもいいのかもしれないけれど、「どうせならば」と様々な事を考えます。余計なお節介とも言えますが。
まぁ、勿論、そんなことを言えばアトリエ公演だから当日の裏方オペレーションも自分たちでやるわけで、それを僕と山梨がやればその分楽屋が広くなるわけです。だから、音の変化や照明の変化は百舌鳥とチャッピーが舞台に出ていない時に出来るようにもしなければいけないし、そういう台本を書く。まぁ、そんなことを言えば、オーディションで俳優の顔ぶれが決まってから全員に当て書きした「ヒポクリティカル・アイランド」は40人近く出演していたので落語の三題噺なんてもんじゃないし、いつもやっていることだけれども。
実際に今回も森下君が直前まで芝居の他の公演だから、とりわけ台詞を覚えやすいようにこういう風にしておこうなんて仕掛けもしていたしね(汗)。そんな無理がないようにそれでいて必ず(関係者に言う言わないは別にして)「自分に課題を」設けてたりしますが、今回はただただ悪い奴をメインキャストにするってだけで(なんじゃらほい?と思われるでしょうが)冒険でした。
公演の中身についてそれで心配になることはないのですが、役者って「役にどっぷり」浸るものだから、それで公演が終わった打ち上げの時に本当に「楽しそうな打ち上げられるものに満ちた」充足感が役者にあるのかどうか「みんな仲良しでいられるのか?」とか、実はもんのすごーく心配だったワケです。
だって、ねぇ、
ご覧になった方はおわかりになるとは思いますが、男として「絶対に言ってはいけない」事を女性に対して発してますし、そういう間柄だったらそういう言い方はしない方がいいんじゃないのかなぁいくらなんでも、ということを女性から交際していた男性に言わせたりしている。恋愛のみならず宗教倫理についてもそうです。ショービジネスについても嫌な所ばかりついてて書いてて何度も吐きそうになってた(^_^;)
それが、その心配は杞憂となりましてん。出演者はみんなそんな「ひどい役」ばかりなのに陽気で元気でそれが普段の共演者の間柄に反映されることもなく、本当に有り難いものでありました。なるほど、これが役者というものなのか、と。いや、そうだろうけれど、ね。映像の仕事で、例えばパッと撮影して終わってしまう単発のドラマとかであれば期間が短いからいいにせよ、演劇の稽古となると長期です。勿論、役者はその長期に渡って役に自分を浸らせる事が出来るので「不器用な役者も出番がある」のが芝居なんですが、それは別にしてもその浸らせる期間の長さで、役者の精神はどうなっちゃうんだろうって思うと不安だったんですね。
まぁ、おわったからネタバレですが、
例えば、ほら、
「そんなこと、解ってたらナマでなんかするワケないだろうにっ!」
という台詞とか、
「臨時収入で面倒臭い女と別れられて良かったねぇ! はっはっはっはっ」
とか、非人道的な台詞を毎日毎日言うんですよ、大きな声を出して。そう思っている人にどんどんなっていかないとならないワケです。感覚もマヒするだろうし、そこへの抵抗感もカラダの中から消し去って行かねばならない。非倫理的な方向へ人をいざなうワケですからして。それってどうなのかなぁとうんうん唸っちゃうんですよね。
主題や主張を(説教がましく)底辺にあえて据えて尚且つ匂わせるような事はしたくないですが、それでも人が持つ「絶対的な物差し」を中心にして創作はなされるものですから、
ましてこうして長い間稽古する演劇となると、これまた心配性な僕としては「どーなのかなぁ」「だいじょぶなのかなぁー」とか色々考えちゃってたワケです去年までは。
これ、皆さん、考えすぎ! 心配しすぎ! って思うでしょ。でも役者の集中力って本当に凄いからさ。没入する様子を何度かそばで見ていると圧倒されるから。当たり前ですけど人間ですからね。そんな話していた直後にそんなこと言えないっす!みたいな所から稽古は始まりますからねぇ。
そして役者は「全ての結末」を知った上で稽古をするワケなので、役の最終的な状態が「基本」となって役作りがなされる。(過去にはそれが嫌だから、あえて結末を伝えずに稽古中に書いては配り書いては配りをしていた事もある。)
ということは、途中や冒頭にどれだけ「愛し合っている」状態であろうとも「仲良しな状態」であろうとも、最終的にはこういう状態になるのであろう、というものがあるとそれが、役者同士の関係として稽古場を支配することが多いので、その辺りを危惧していたのですかね。
まぁ、人のいい素敵な出演者ばかりだったからか、まるで無問題だったので、ここにきてまたまた役者の底力を見せつけられた経験でありました。
だって、ミルキィ役の羽飼さんは「『全てを鎖で繋いじゃいな』の完全版はないんですか?欲しいんですけど。毎朝それを目覚まし代わりに起きたいです」と僕に提案。俺はええええええっ?!って驚いて「おめー、きちがいじゃねーの」なんて言っちゃったけどw、でもそうですよ。「ひどい」事がわかってる楽曲(とも言えないもの)を聞くなんて、今後の人生にプラスになることは一切ないですもの。でも役作りとしては間違ってはいない。それを好きにならねばならないし、登場人物の唯一の肯定者。バンドの本人たちでさえ、ねぇ。
いや、凄いなぁと思いましたよ、あたしゃ。だって、あれを稽古で何度も聞いているだけで、このギターソロ、コード進行に合ってない!って感覚が失せていくんですもの。作る時はあんなにゲラゲラ笑いながら作ったのに。実際、出演者に尋ねても「そうですね、もうああいうモノだと思ってしまってますね」とシレッとしてる。わわわ。危ないよ。それは。んもう。
などなど、自分の中では思う事は沢山ありますけれど、ともあれそういったことではめでたしめでたし、でした。
関係ないけど、自分が担当するラジオ番組の聴取率がよくてその良い結果が出た日が千穐楽だったので、その千穐楽にその番組ディレクターとか放送局関係者の方とかラジオショッピングの美人お姉さんとかが来てくれたので、晴れ晴れとした気分で終演後ご挨拶出来て良かったです(なんのこっちゃ)。
これ数十年続いている事なんだけど、
ラジオの聴取率調査って二ヶ月に一度あるワケですよ。それも偶数月の任意の一週間。前は野球中継のカードに左右されないようにナイターinの時期は2週間やっていたので、もうその時はしんどかったのなんの(という今となってはいい思い出)。だから、僕がそういうラジオの表方の仕事を始めてからというもの公演は奇数月にしかないのです。旗揚げしてからほっとんど。ずっと5月と9月を繰り返していた時期を経て、去年のWobble_boyが初めて12月ってなぐらい(勿論それも聴取率調査週間は避けている)。
その期間を避けているってことは、奇数月に公演が多いってことは、調査結果(つまり成績ね)が出るのが一ヶ月後なので、公演期間中に成績発表があることがよくあるのよおおおおおおっ!? もう、幕が開いて数日経っているのに、なんだか落ち着かなかったり。芝居についてはまるで問題ないのになんだか影がある演出家みたいになってたりするのはそういうせいなのよね。基本、自分は「自分が満足していれば」数字はどうでもいい派なんですけど(そしてその自分の満足が続いてさえいれば数字を理由に、番組が終わろうがその放送局とお別れしようがどーでもいいんですが)、それでも数字は一緒に作っているスタッフさんや制作著作を持つ放送局にとっては大きな事なのでその方々の為に(つまりこの日記の芝居関係者全てを丸く収めたがる性格と同様)、なんとかなったら嬉しいなぁと思う部分でもあるのです。まぁ、そういう事で言えば、
楽日の昼間にヨドバシAKIBA店で6/5(金)の「カル~クNight」の為に購入したBlackmagicポケットシネマカメラのカラーコレクションをするソフトがサクサク動く為のグラボを物色していた時にゆーじDからかかってきた電話は、公演前にブルーにならずに良かったってことです。なんのこっちゃ。
ともあれご来場頂いた皆様には心より御礼申し上げます。
差し入れも沢山頂いて恐縮です。ラジオで喋っているからか、アマニ油とかコーヒー豆とか小躍りするように嬉しいものを頂戴したり、遠方からいらっしゃる方からの地元の名菓もこれまたなんといっても嬉しくて仕方なく。公演中って糖分必要だけど食べ過ぎると腹が一杯になって横隔膜動かしづらくなっちゃうから「甘いものだけ」で繋ぐ事が多い。俺も公演が終わるまで頂いた「奥州ポテト」二個だけで過ごした日もありましたし。いや、甘いものは助かるんでやんす。
でも、まぁ、いつの日か、若い女性からの差し入れで「これ、私のM字開脚の画像ですぅ」って差し入れがてんこ盛りな日々が来る事も、引き続き夢見ておきますけれどもね。かれぎゅーっ!
あ。映像は、たった二人でバラシをした昨日26日、二人してくたくたに疲れていたので(山ちゃんなんか珍しく「ちょっと上言って空気吸ってきていいですか。なんだかくらくらしてフラついて来ました」なんて言ってたし)、作業に張りを持たせる為に録画したものです。なんかおかしいなと思ったら、髪型が違うし、眼鏡かけてるし、鼻からヒモがぶらさがっていないし、もう何がなんだか。てか本名タクヤって似合わないし山ちゃん。