観て考えよう。

vj2.jpg「ビルマVJ~消された革命~」

最近みたドキュメンタリー映画は涙、涙の超現実タイフーン。

5月公演が終わって、のんきに不義理続きの友人との会食も出来ずに(考えてみたら、早朝のラジオ番組をやっていたらなかなか夜ご飯を共にはできない・汗。また、声帯ポリープが故に酒も飲めなかった←この辺りは別の機会に詳述)、文化に触れ自分へのインプットにご執心の宮川です。出すってことは入れなきゃいけないからね。

これは、ミャンマーの軍事政権に反発する国民の反政府デモをつぶさに追ったドキュメンタリーだ。中で再現シーンの映像がある。それは、ビルマのVJ(ビデオジャーナリスト)が命がけで「世界の人にこの国(ミャンマー)の惨状を理解してほしい」と撮影したミニDVの映像をネット経由で仲間に配信し、配信してはすぐにその上書き録画をし、また配信。それを繰り返している為に、映像データが極端に少ない事が理由だ。

ミャンマーはビデオで政府の動きを撮影したら逮捕される。それぐらい、軍政のやりたい放題を世界に(国連とかに)言いつけるんじゃねーよ!管理が厳しい。つまり、ここで映る僕らが目にするものは、「命がけ」でVJが撮影したものだ。当たり前のように見える映像も、極めてスリリングであり、長井健二さんの射殺現場もハッキリ写される。この映画を観れば、あんなに挑発的に最前線で撮影してれば、射撃されても仕方ないかも、とさえ思える、と同時に長井さんはどれだけ勇敢かつ正義感に溢れていたのかと、涙が止まらない。

圧巻は、僧侶の全国大行進だ。軍政に対抗できるのは僧侶しかいない。僧侶が「怒る」というのはよほどだ。誰もが、応援する。そして、スーチーさんの監禁される建物を目指す。チラと見えるスーチーさんの「いま」の画像が大写しになる時のカタルシスたるや。VJは、ミャンマー国民全員の為にこのスーチーさんの画像を命がけで撮影した。スーチーさんが生きているということが、最後の希望であり、永遠の心の太陽だからだ。

こんなにも国際社会において地球上の感心が寄せられるべき今作が、「ザ・コーヴ」に負けた賞取りが理解出来ない。アメリカにとって、利権がまるで絡まない~救った所で得をしない~遠い遠い国だからか? それが一番泣けてくる。

いとうせいこうも「一刻も早くみてほしい」とコメントを寄せている。そう思います。


vj.gifスーチーさんの言葉「あなたの自由を、自由を持たない人たちの為に用いて下さい」

「クロッシング」

北朝鮮の実情を暴きつつ、微に入り細を穿ち描いたリアルな物語。韓国映画ですが、北朝鮮に対してこれでもか、と取材を重ねて描いた問題作。ドキュメンタリーとは違うが、知られざる北朝鮮の事実の全ては取材に裏打ちされていると思うと、当事者以外にはドキュメンタリーとして感じ取る事が大きい。

妊婦の結核の薬はなかなか手に入らない。父親は北朝鮮を出て中国へ薬を入手しに家を出る。病の妻と幼い男の子をおいて。だが、薬が目的だろうが「脱北者」と見なされ追われる身になる。この運命のいたずらがこの家族を困窮に追いやっていく。

日本の総領事館にかけこむ人たちの映像が数年前全世界に配信された。それに至るまでの事実がくまなく描かれている。そうか、そうだったのか。僕らが知るべき事はまだまだ沢山ある。この映画も事実に基づいているのだから、見終わった後の悔しさと溢れる涙は禁じ得ない。これ見て泣くなというのは無理です。僕のように「韓国はお涙頂戴が上手いからなぁ」と斜めから見ている嫌な観客でさえも、素直にずーんと響くのですから。隣人の転落。強制労働の悲惨。なのに、主人公の息子が物乞いに施す優しさ(主人公父親の教育が顕れていてグッと来る)。


film0405_crossing.jpg写真は主人公の息子が中国の西側から広いモンゴル平原へ国境を越える単独行為。


dappokuMAP.jpgマップは、父と子の脱北ルート。

知られざる北朝鮮の事実

 第二次世界大戦後、朝鮮半島は南北に分断され、現在は韓国と北朝鮮、二つの国が存在する世界唯一の分断地域国家となった。
 1990年代半ば、過酷な食糧危機を迎え、2003年、国連世界食糧計画(WFP)ジェイムス・モリス局長は、「北朝鮮の食糧事情は極度に悪化し、300万~400万人が飢餓と栄養失調に直面するだろう」と発表した。
 事実、北朝鮮の住民たちは飢餓による家族の死を目の当たりにし、死線をさ迷いながら、国境を超え、脱北者となった。その数は中国とその周辺国に約30万人に達すると分析され、韓国には約2万人がたどり着いたといわれている。

 2009年6月、国連世界食糧計画(WFP)アジア事務所のリスリー報道官は、米自由アジア放送(RFA)とのインタビューの中で、「(北朝鮮では)栄養失調で多くの人が餓死する可能性があり、大変懸念している」と発表。
今なお、過酷な食糧難ゆえに、国境を超え、脱北者となる者が後を絶たない。彼らの多くは、家族、友人、恋人、家、そして国を失った。

 2002年、中国の瀋陽日本領事館に、脱北者の両親と幼い少女を含む子供5人が駆け込もうとし、中国人警官によって引きずり出された映像は記憶に新しい。恐怖に立ち竦む少女、屈強な警官をふりきって日本国領事館に入ろうとする母親とその家族、そして、彼らを助けるでもなく傍観する日本領事館職員の姿は、今の日本の象徴でもあった。

 本作「クロッシング」は同年に起きた、“北京駐在スペイン大使館進入事件”(2002年3月、脱北者25名がスペイン大使館に駆け込んで韓国亡命に成功した)をモチーフに製作。

 脱北者に冷淡だったノ・ムヒョン政権下で、危険を犯しながら極秘裏に撮影され、イ・ミョンバク大統領に政権交代した後、2008年6月、ようやく韓国で公開された。
 そして、ついに、2010年4月、待望の日本公開となった。


crossing1.jpg観て下さい、これまた絶対に。ようやく公開ですからね。関係ないけど、この映画、勝谷さんが推薦してることは、日本ではマイナス効果だと思う(笑)。むぅ。


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