1976年公開の映画「ナッシュビル」がようやくのリバイバルとなった。僕が小学生か中学生か何しろそんな小僧の頃、サントラレコードを買ってキース・キャラダインの「I’m easy」と「It don’t worry me」を聞き惚れて、映画館で観て感銘を受けて。でも、やっぱり子供だから理解できない追いつけない部分も多くて(何しろ登場人物が多いからね)、また観たいなぁ、と思っていたら、ようやくリバイバルです。今、新宿武蔵野館でやってます。
これがポスターです。
監督ロバート・アルトマン。アルトマンファン垂涎のリバイバル。の筈。何しろ、DVD化されていないっ! 160分もある。でも、そう感じさせないけどね。
28人のキャストの群像劇。アンサンブルプレイ。カントリー&ウェスタンの夢の聖地ナッシュビルでの5日間。選挙の利権。アメリカンドリーム。恋愛。生と死。友情。チームワーク。それぞれの破綻。家族の秘密。セックス。全てが詰まっていると言っていい5日間のドキュメンタリー風味。カメオ出演のエリオット・グールドらは「本人役」で登場。出演者が歌う曲は本人が作詞作曲。多くの人間が複雑に絡み合い、最後には綺麗に一つに収斂するアルトマン節の僕は最高傑作だと思っている。
超安いギャラで役者は協力する。ナッシュビルに数週間ホテルを借りて、そこでスタッフキャスト一緒に撮影合宿。アドリブで役者にセリフを作らせて現場で脚本を書く。この作り方を確立したのはこの映画が最初だったらしい。
当時のスター「カレン・ブラック」。バーバラハリス(大好き)。手品をするセリフのないイージー・ライダーはジェフ・ゴールドブラム(フライの)。ロバート・デュバルの娘の素っ頓狂なコスチュームの彼女も登場(シャイニングの)。日常に転がるドラマをシレッと十重二十重とたたみかけるように見せる手法に、まるで160分の時間を感じない。
芝居書いてると、しょーがないことだけど、映画や小説を素直に楽しめない部分が大きい。どれが伏線かはすぐに判っちゃうし、構成が読めるから結末まで読めることもとっても多い。そうなると「裏切られるような展開」じゃないと楽しめないのでは?と思われるかもしれないが、さにあらず。判ってても、ともあれ楽しめる作品というものはあるのです。風刺と愛と笑いに包まれてる人間交差点の濃縮版。
何をするワケでもなく、何に向かっているのかもハッキリしないまま、物語は進んでいく。最初から、映画の「見方」を提示しないところがめっちゃカッコイイ。なのに、気づくとナッシュビルに行ってみたくなっている自分がいる。
夢がある。ドラマがある。そこに希望がある。ナッシュビルに色々なものを見つけに人は集まってくる。そして夢破れ、夢を掴み、夢を忘れてしまう。何度でも観たい。そんな映画です。俺はWOWOWで録画したのがあるので、これからはそれを見返すことにする。どうも、やっぱり録画したとはいえモニターで見たくなかったんよね。写真は、バーバラハリスのモノマネ芸披露のシーン。ここも、非常に皮肉な演出だった。
アメリカを追い出されたチャップリンの愛娘ジュラルディチャップリンがイギリスBBCの非礼なキャスターとして登場してるのも皮肉だったなぁ。色んな皮肉がタップリでした。
最近の映画はつまんないなーっ!っていう人は、たまにはこういうの、どうでしょう。ぶっちゃけ、教えたくないぐらい俺は好き。物語作りに目覚めた13歳の時に観たからノスタルジーもあるけど。
It don’t worry me !
昨日、稽古が早く終わったので、家に戻って仕事しようと思ったが、体調があまりよくなく、ならば座ってるだけで触れられる文化に!と映画館に向かった。でも、このリバイバル上映は、曽我部恵一のtwitterの呟きで知ったという。
見て来ました。
面白い!
カントリーは聞きませんが、この群像劇にやられちゃいました。
あまりにも沢山の出演者なんで細かい表情を見過ごしたんでまた見てみたいですね。
そうなんですよ。何度でも見たいんです。僕、アマゾンでナッシュビルサントラがあったので買いましたっ!キース・キャラダインの「It don’t worry me」もっ! てか、ジェリー・ハリス可愛い(>_
バウスシアターでやってるー。気になるところがあちこちにあって、また見てこよう!