沢山の方においで頂き、ありがとうございました。
民家の中にある中野ザ・ポケットでの公演は7年ぶり。以前は、ジョーダンズ三又さん客演の公演「ラモベレール村への陽は遠く」でした。阿呆の村の阿呆の御伽噺。
今回はうって変わって超現実的な、どちらかというと、現実の暗部にじめじめ在り続ける人間の嫌な部分を表出させたような公演でした。
まず、5月の公演の準備期間に日本を襲った東日本大震災のショックで、暫く脳が機能しなかった事と、その後の自粛ムードをマスメディア(風味のメディア)に携わる事により体に直に感じ、汲汲として伸び伸び作れなかった悔しさから、9月も新作でっ!と思い立ったのが最初でした。
その後、バタバタとキャスティングや制作準備にかかり、各方面のプロダクションの方々にもご協力頂き、タレントの方々にもスケジュール調整をお願いできて、なんとかなりました。
地デジ対応になったら、家のこのテレビ捨てなきゃいけないなぁ。だったら、捨てる前にこのテレビ使って芝居やろうかなぁ、なんて軽く考えたのが創作の一歩でしたが、結局、家のテレビは使いませんでしたが。4:3の画角は来年になっていたら、「16:9」が当たり前になっていて「ああ、そんな画面あったねぇ」なんて昭和の印象になってしまいそうなので、慌てて今年やっておこう!というのもあります。
そして、今回も沢山の役者に出会えて面白かったです。いろんなタイプの役者がいるなぁ。と。勿論、キャスティングなど反省すべき部分は全方位的に色々あるのだけれど。
劇作家というのは、書き上がっても、あくまで「台本」でしかないわけで、役者が具現化してくれないと作品にならない。小説家や絵描きと違う所。そういう意味でも、画面の中に入る、画面の中から世界を見る、という役を演じてくれた役者や、その者に友愛の情を持ち、自分を投影しながら自分を探す、なんていう難しい役に挑戦してくれた役者さんには本当に感謝します。そういう人がいなければ芝居は成立しませんから。「こんな設定、できないっす」とか言われちゃったらもー無理なんでね。
今回は、過去十年の「非現実的な設定」「非科学的な状況設定」の中でも最もあり得ない状況が舞台なので、とりわけそれを感じます。
キャリアを積むと勢いがなくなる部分とか一日の集中力がなくなる、などのマイナス面はあれど、経験値により書く「技術」が上がります。今回も書き直しは一回もない一発の書き下ろしなので、書き始める前からプロットと細かい伏線であったりギミックが頭の中に整理して並んでいないとならない。20代の自分には絶対に書けないと思います。その作品を「合理」に底上げする力は培えるにしても、逆に「過去の自分の作品群」が大きく立ちはだかり自分に重圧を与えるのも40過ぎてから。
「眠った事がない兄弟」や「必ずある時から人生をやり直し続ける死なない男」、「冷凍睡眠の薬の市販化の為の人体実験を始めるフリーター」、「嘘をつくと体が黒くなる村の伝説」、「時を止める能力者の細分化された能力を使った野望」とか、色々描いてきた物語の設定のどれよりも「無理筋」に挑戦してみたいと思ったのも、その重圧が原因です。
劇団は解散するまでが作品なので、一回の公演の成功は第一義にしても、次に何をするか、その次に何をするか、が問題。それはただ面白いものを作るのではなく、それは大前提としても、劇団員をどう成長させるのか、どういう客演の俳優をお招きして劇団員と化学反応を期待するのか、描けそうにないものに挑戦する一歩を踏み出す、とか、「プロデュース公演」ではないので、必ず
「挑戦」
が必要だ。身内にも話していないけど、稽古場ではなるたけヘラヘラするよう頑張るけど、実はそんなことを常々考えておったりするワケです。年の瀬が来たら「今年の自分は『大冒険』一個と『小冒険』いくつをしたかな? ちゃんと今年もチャレンジャーで在り続けたかな?」と問うようにしています。
勝手に自分で思っている事なんだけど、いい年をして芝居を続けていられるというのはとても幸福なことであり、その反面、そういう自問自答がしっかりなされていないと芝居してちゃいけないような、そんな風に自分で錯覚しているのです。
ともあれ、去年の秋公演「眠る夢、見る夜」が終わった直後に、とある喫茶店で一人ボーッとしていた時、「今のこのボーッが過ぎると、きっと、このまま来年の秋10月2日が過ぎるまでは、ずーっと忙しくしてるんだろうなぁ」とボーッとしながら武者震いしたのを思い出します。あの喫茶店から今まで、あっと言う間に過ぎました。
一本芝居やると、俳優の魅力を広げて非魅力的な部分を隠すことばかり考えてそれを実践する僕は、「入力1のパヴァーヌ」でも具体化を頑張りました。杉崎君はどうみてもガッツマンだから大きな役を、難しい設定や台詞を与えれば与える程「燃える」人であり、それに応えようと躍起になる事も解っていたので、一緒に芝居をしたのは初めてだけど、ガンガン遠慮なく(保険もかけずに)色んな仕事を次々に振りかけさせて貰った。河上さんは美人なのに中性的で少年っぽいのでそのままを画面の中に閉じ込めた。カーテンコールで全身を見る時に無意識にお客様は「窮屈から解放された彼女」の姿にカタルシスを感じて貰えたと思う。あまり稽古できなかったけど、堀江、大津、福田、ししも、色々いじくってみた。劇団員は長いつきあいなので劇的に変化させてはいけない。
純朴な芸能人を夢見る少女明美役の岡田は思った以上に「女優」だったし、谷川の陽気さはそのままあっけらかんとしたADの役に重なった。強いて言えば急遽出演してくれることになった永澤恵さんと新人の石鳥とクララが、時間に負けて100の魅力を出せなかった。劇団員は今後って感じね。
今週の土曜日の夜かどっかで、ようやく久しぶりにお酒飲もうかと考え中。ずっと飲んでなかったからね。時間なくて。沢山の不義理をすいませんでした。11月末までは、読書で吸収するクリエイターとしての「インプット」期間にします。芝居も見たいので、知り合いの皆さん、ガンガンメール下さい。空いてれば行きますのでっ! てか、維新派、見なきゃ。宮沢さんも今回こそ。
さて。今日はトークライブin「大塚レ・サマースタジオ」です。どきどきキャンプの佐藤君と、AD役で頑張った谷川万純と出ますっ。公演後初めて谷川に会うので、宮川と再会して女性としてジュンとしてる谷川の乙女な横顔を是非見に来てください。なんのこっちゃ。
20時からですっ! 1500円なりねーっ。
03-5961-4505
まで直接お問い合わせ下さい(夕方16時半以降)。
今日の一曲! 超絶テク「PRIMUS」! 新譜出たぜっ! 超久しぶりっ! かっこいいのにコミカルっ!