「ヒポクリティカル・アイランド 〜根人とガッジョと豚の狩人〜」
シアターサンモールで、開幕しました。昨日が初日でした。
この人大丈夫か?と心配な人が実は安定してて、頼もしいはずの人がお茶目なミスしてたり、
ラクンドという島は本当に不思議です。
理路整然としたゴチャゴチャを、理屈に裏打ちされた不条理を、まとめて舞台に積み上げる。闇鍋のような出演者の顔ぶれで。
振り付けのゆぅさんの、ゲネ終わりの「なんとか形になりそうですね」にホッとしたのを覚えてる。
今回は劇作家は神であーる!を実感できた。正確には、役者が神にしてくれる、ことを痛感して感謝した。
なぜ四〇人近い役者が、島のルールに順応出来たのか。それは、役者こそが、最もヒポクリティカルだからだ。これに気付いてからの稽古は頭に疑問符が浮かぶことなく演出できた。
島のルール、価値観、因習。それらを作ってから人格を振り分ける。歪曲したなかで伸び伸び生きる島民。
物語の前に世界を創る。本当は言語をゼロから作りたかったんだけど、説明が大変なので既存の言葉とフィクショナル訛りに留めてみた。
僕が演出でありながら、出演者であることは当然どちらも半人前になるわけで、共演者や劇団員に嵐のような迷惑が流れる。さらにそうなるとスタッフの自立性と自己演出性が極端にものを言うわけで、そういった点でも照明の山田さん、音響の佐藤さん寺澤さん、ブカンの山田さんに感謝です。細かいことを打ち合わせずとも「だって、ここはこうしたいでしょ?」ってことを超明確に掴んで下さってる。
急逝した照明家清水利恭さんの奥さまが観劇にいらした。お墓を教えてと訊ねたら、暫く入らないかも、と、奥さま。日高さんも驚く気丈ぶりだった奥さまの「突然のことすぎて(整理がつかず)」というとても当たり前の部分をようやく見れて安心しました。
二日目の今日はまず、清水さんに黙祷を捧げようと思っていたがやめます。奥さまが受け入れないなら僕も。だってばろな、いるってことで、ええんがろがな。
初日打ち上げで照明の山田真輔さんも言ってたしね。
「(清水は)今回の打上は出るんじゃないすかね。いま、暇な筈ですから」