天使エスメラルダ

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ドン・デリーロ「天使エスメラルダ」
新潮社。面白うございました。翻訳家で選んじゃう。


 ご存じ、柴田元幸さんが翻訳してるとそれだけで「おっ」と思うよね。2000円近い雑誌「モンキー・ビジネス」は全巻とっておきたいぐらいですものね。そして都甲幸治。上岡伸雄。
 なんだか、最近は、
 人気小説家よりもこういう翻訳家の方が「日本語が美しい」と感じてしまう。これは気のせいではないと思う。勿論、この短編集はページターナーの正反対ですよ。冒頭の「天地創造」h島から出られないリゾート客の話。話という程ストーリーが展開するものではないが、まるでゴドー待ちのようで。第三次世界大戦に携わる宇宙飛行士。娘たちのテレビ出演を塀の中から見守る囚人。大地震の余震に怯える音楽教師……。余韻に浸りたいので、次の本を読み始められないという読後も拘束されちゃう短編集です。これは、デリーロ入門としてはサイコーだと思われます。


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ミラーさんとピンチョンさん
波戸岡景太(訳)
もう一冊。これはグラフィックノベル(要は漫画)。これは勿論、ヘンリー・ミラーとトーマス・ピンチョンを模した。この二人の主人公が珍道中。計り続ける。これは、ピンチョン好きにはたまらない。オマージュでありパロディではない。メイソン・アンド・ディクソン(ピンチョン)をそのまま……のように見えて実はいろいろな仕掛けが多く楽しめる。メイソン~はアフリカからスタートするがこれはアフリカで終わる。喋るワニ。狼男。チーズ死。ピンチョンの魔術がふんだんに。
僕はいい年齢になってきたので、これから死ぬまでに何冊の本(小説に限らず)を読めるのか、という興味が湧いてきていて。それを計算し始めている。声で仕事をしてきた僕だけど、今なら鬼に「目と舌のどちらかを寄越せ」と迫られたら間違いなく舌を献上する。読める方がいい。読めるということは「書ける」ということでもある。
で、そうやって考えるとエンターティンメント小説は読まなくなってきた。伊坂コウタローや東野圭吾の本は今後二度と読む事はないだろうし、今回デリーロのすごさを痛感したけれど「堕ちてゆく男」は読みそうにない。それは9・11が題材なので刺さる度合いが(特に極東の僕には)違うので。
サラ・ブラスコが日本デビュー。輸入盤ではない。BOYも正式日本デビュー。いいよね。どっちも。ということで、

今日は、BOY。女性二人なのに「少年」。
BOY – Little Numbers (Official Video)
素敵よねー。CD屋さんで買ってしまって下さいな。ではまたっ。

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